「介護施設にはどんな種類があるの?」
「特養と老健は何が違う?」
「介護職として働くなら、どの施設を選べばいい?」
介護の仕事を探し始めると、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、有料老人ホーム、デイサービス、グループホームなど、さまざまな名称を目にします。
どれも介護に関わる施設・サービスですが、利用する人、サービスの目的、介護職の仕事内容や働き方には違いがあります。
そのため、介護職として働く場所を選ぶときは、給与や通勤時間だけでなく、
「どんな利用者を、どんな環境で支援する仕事なのか」
まで確認することが大切です。
介護職の基本的な仕事内容や日勤・夜勤の1日の流れについては、「介護職の仕事内容とは?日勤・夜勤の1日の流れと施設別の違い」で詳しく解説しています。
この記事では、代表的な介護施設・サービスの特徴と、介護職として働く場合の違いを、未経験の方にもわかりやすく解説します。
施設・サービスによる介護職の給与の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
介護施設・サービスにはさまざまな種類がある
一般的にはまとめて「介護施設」と呼ばれることがありますが、介護サービスにはさまざまな形があります。
大きく考えると、
- 施設に入所・入居して生活する
- 自宅から施設へ通う
- 介護職が利用者の自宅を訪問する
などの違いがあります。
代表的な施設・サービスを簡単に整理すると、次のようになります。
| 種類 | 利用形態 | 主な特徴 | 介護職の働き方の特徴 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 入所 | 生活全般を長期的に支援 | 身体介護を含む生活全般の支援 |
| 介護老人保健施設 | 入所 | 在宅復帰を目指す | リハビリ職などとの連携が多い |
| 有料老人ホーム | 入居 | 種類・施設によって特徴が異なる | 施設の形態によって異なる |
| グループホーム | 入居 | 認知症の方の共同生活 | 認知症ケア・生活支援 |
| デイサービス | 通所 | 自宅から日中通う | 日中の介護・活動・送迎など |
| 訪問介護 | 訪問 | 利用者の自宅で支援 | 利用者ごとに自宅を訪問 |
※実際の仕事内容、勤務時間、夜勤の有無、職員配置などは施設・事業所によって異なります。
それぞれ詳しく見てみましょう。
特別養護老人ホーム(特養)とは?
特別養護老人ホームは「特養」と呼ばれることが多い施設です。
常時介護を必要とし、自宅で介護を受けることが難しい方などが入所し、日常生活上の支援や介護を受けます。
新たに入所する場合は、原則として要介護3以上の方が対象となります。ただし、要介護1・2でも一定の事情がある場合には特例的に入所が認められる仕組みがあります。
参考:厚生労働省「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」
特養で働く介護職の仕事内容
仕事内容には、
- 食事介助
- 入浴介助
- 排泄介助
- 移動・移乗支援
- 更衣支援
- 見守り
- レクリエーション
- 介護記録
- 申し送り
などがあります。
特養は利用者にとって生活の場でもあります。
そのため、特定の介助だけではなく、利用者の日常生活を継続的に支えていく仕事になります。
特養で働くときに知っておきたいこと
24時間生活を支える施設なので、早番・日勤・遅番・夜勤などのシフトを設けている職場があります。
身体介護に関わる機会も多いため、介護技術を実践しながら経験を積める職場の一つといえるでしょう。
ただし、仕事内容や勤務体制は施設によって異なるため、求人ごとの確認が必要です。
介護老人保健施設(老健)とは?
介護老人保健施設は「老健」と呼ばれます。
特養との大きな違いの一つが、在宅復帰を支援する役割です。
病状が安定している方に対して、リハビリテーションや必要な医療・介護などを提供し、家庭への復帰を支援します。
参考:厚生労働省「介護老人保健施設について」
老健で働く介護職の仕事内容
介護職は、
- 食事・入浴・排泄などの介護
- 移動支援
- 日常生活上の支援
- 記録
- 他職種との情報共有
などを行います。
老健では、医師や看護職、理学療法士・作業療法士などのリハビリテーション専門職を含む多職種と関わりながら支援する場面があります。
特養と老健は何が違う?
非常に簡単に整理すると、
特養 → 生活を長期的に支える性格が強い
老健 → 在宅復帰を目指してリハビリテーションなどを行う性格が強い
という違いがあります。
ただし、実際の利用者の状態や介護職の業務は施設ごとにも異なります。
「入所施設だから全部同じ」と考えないことがポイントです。
有料老人ホームとは?
有料老人ホームは、高齢者が入居し、食事の提供や介護、家事、健康管理などのサービスを受けながら生活する住まいです。
注意したいのは、有料老人ホームには複数の種類があることです。
参考:厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」
介護付有料老人ホーム
特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームで、施設が介護保険サービスを提供します。
住宅型有料老人ホーム
生活支援などを受けながら生活し、介護が必要になった場合には、入居者が訪問介護などの介護サービスを個別に利用しながら生活を続けます。
健康型有料老人ホーム
基本的には介護を必要としない高齢者を対象とするタイプです。
有料老人ホームは種類や運営方針によってサービス内容が異なるため、介護職として応募するときも「有料老人ホーム」という名称だけで仕事内容を判断しないことが大切です。
どのような入居者がいて、介護サービスをどのような形で提供しているのかまで確認しましょう。
グループホームとは?
介護分野でいうグループホームは、一般的に認知症対応型共同生活介護を指します。
認知症の方が少人数で共同生活を送りながら、必要な介護や日常生活上の支援を受けます。
グループホームで働く介護職の仕事内容
食事・入浴・排泄などの支援だけでなく、
- 食事づくり
- 掃除
- 洗濯
- 買い物
- 日常的なコミュニケーション
など、利用者の生活そのものに関わる場面があります。
大切なのは、何でも介護職が代わりに行うことではありません。
利用者ができることを生かしながら、共同生活を支えていきます。
認知症ケアに関わる機会が多い
認知症の方を対象とするサービスなので、認知症ケアについて実践的に経験する機会が多い職場の一つです。
利用者の行動だけを見るのではなく、その背景や気持ちを考えながら関わることも重要になります。
デイサービスとは?
デイサービス(通所介護)は、利用者が自宅から施設へ通って利用する介護サービスです。
施設では、
- 食事
- 入浴
- 日常生活上の支援
- 機能訓練
- レクリエーション
などが行われます。
参考:厚生労働省「介護サービス情報公表システム|通所介護(デイサービス)」
デイサービスで働く介護職の仕事内容
施設によって異なりますが、
- 利用者の送迎
- 健康状態の確認
- 入浴介助
- 食事介助
- 排泄介助
- レクリエーション
- 機能訓練の補助
- 記録
などに関わることがあります。
日中を中心に働きたい人の選択肢にもなる
デイサービスは基本的に利用者が日中に通うサービスなので、入所施設とは勤務形態が異なります。
そのため、夜間勤務が難しい方が介護の仕事を探す際に、デイサービスを候補として検討することもできます。
ただし、営業時間や勤務時間、宿泊サービスの有無などは事業所によって異なります。
「デイサービスなら必ず夜勤がない」と求人確認前に判断しないことが大切です。
訪問介護とは?
訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して介護サービスを提供します。
施設介護との大きな違いは、利用者が暮らしている自宅そのものが支援の場になることです。
身体介護
たとえば、
- 食事介助
- 排泄介助
- 入浴介助
- 更衣介助
- 移動・移乗支援
などがあります。
生活援助
身体介護だけでなく、
- 掃除
- 洗濯
- 調理
- 買い物
など、利用者の日常生活を支援する仕事もあります。
参考:厚生労働省「介護サービス情報公表システム|訪問介護(ホームヘルプ)」
ただし、訪問介護で提供する支援はケアプラン等に基づくものであり、一般的な家事代行とは異なります。
利用者と1対1で関わる場面が多い
施設では複数の利用者や職員がいる環境で働くことが多い一方、訪問介護では利用者の自宅を訪問して個別に支援します。
そのため、その方の生活環境や生活習慣を理解したうえで支援することが重要になります。
なお、訪問介護員として介護業務に従事するには、介護職員初任者研修など一定の資格・研修修了が必要です。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag|訪問介護員/ホームヘルパー」
施設介護を含め、無資格・未経験からできる仕事や資格を取るタイミングについては、「介護職は無資格・未経験でも働ける?できる仕事と資格取得のタイミング」で詳しく解説しています。
特養・老健・有料老人ホーム・デイサービスなどの違いを比較
介護職として働く側から違いを整理してみましょう。
| 特養 | 老健 | 有料老人ホーム | グループホーム | デイサービス | 訪問介護 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 利用形態 | 入所 | 入所 | 入居 | 入居 | 通所 | 自宅訪問 |
| 生活全般への支援 | 多い | 多い | 施設による | 多い | 日中中心 | 計画に基づく個別支援 |
| 身体介護 | あり | あり | 施設による | あり | あり | サービス内容による |
| 認知症ケア | あり | あり | 施設による | 特に重要 | あり | 利用者による |
| リハビリとの連携 | あり | あり | 施設による | 施設による | あり | 状況による |
| 夜間の勤務 | あり得る | あり得る | 施設による | あり得る | 原則日中中心 | 勤務先・サービスによる |
| 主な特徴 | 生活を支える | 在宅復帰支援 | 施設差が大きい | 少人数・認知症ケア | 日中の通所支援 | 自宅で個別支援 |
※実際の仕事内容・勤務形態・職員配置は事業所によって異なります。
この表からも分かるように、同じ「介護職」でも働き方は一つではありません。
介護職として働くなら、どの施設を選べばいい?
「未経験なら特養がいい」
「子育て中ならデイサービスがいい」
など、一つの条件だけで勤務先を決める必要はありません。
自分がどんな介護をしたいのか、どのような働き方を希望するのかを考えてみましょう。
利用者の生活全体を継続的に支えたい
特養などの入所施設が選択肢になります。
食事や入浴など特定の場面だけでなく、生活全体に関わる介護を経験できます。
在宅復帰やリハビリに関わる介護に興味がある
老健が選択肢の一つです。
リハビリテーション専門職など、多職種との連携に関心がある方も検討できます。
認知症ケアを深く経験したい
グループホームなどが選択肢になります。
少人数で共同生活を支えながら、認知症の方との関わりを経験します。
日中中心の働き方を探したい
デイサービスなどが候補になります。
ただし、希望する勤務時間で働けるかは実際の求人条件を確認しましょう。
利用者の自宅で個別に関わりたい
訪問介護という選択肢があります。
利用者一人ひとりの生活環境に合わせた支援に関心がある方にとって、施設介護とは異なる働き方です。
働きたい場所を考えたあと、未経験から介護職になるまでの具体的な流れを知りたい方は、「介護職になるには?未経験から資格取得・就職までの5ステップ」も参考にしてください。
介護教育の現場から|「介護職が合わない」と「職場が合わない」は分けて考える
介護を学び始めた方に知っておいてほしいのが、介護職にはさまざまな働き方があるということです。
たとえば、デイサービスと特養では、同じ介護職でも1日の流れや利用者との関わり方が大きく異なります。
訪問介護なら、身体介護だけでなく、調理や買い物など生活を支えるサービスに関わることもあります。
当校でも介護について学ぶ際には、身体介護の技術だけではなく、利用者の性格や生活歴、これまで歩んできた人生の背景を知ることの重要性を伝えています。
働く場所が変われば、求められる支援や利用者との関わり方も変わります。
そのため、
「この職場は自分に合わない」
と感じたことと、
「介護職そのものが自分に向いていない」
ということは、必ずしも同じではありません。
介護の仕事を選ぶときには、職種だけではなく「どこで、どのような介護をしたいのか」まで考えることが大切です。
介護施設を選ぶときに求人で確認したいポイント
施設の種類が決まったら、実際の求人では次のような条件も確認します。
勤務時間・シフト
早番・日勤・遅番・夜勤などの有無を確認します。
夜勤体制
夜勤がある場合は、勤務時間だけでなく職員体制なども確認しておくとよいでしょう。
利用者の特徴
施設によって利用者の要介護度や必要な支援は異なります。
新人教育・研修
未経験の場合は特に、
- OJT
- 新人研修
- 資格取得支援
- 入職後のフォロー
なども確認したいポイントです。
実際の仕事内容
同じ「介護職」という求人でも仕事内容は同一ではありません。
面接や施設見学の機会があれば、1日の流れや新人が担当する業務について確認してみましょう。
介護施設の種類についてよくある質問
Q1.特養と老健の一番大きな違いは何ですか?
役割の違いがあります。
特養は常時介護を必要とする方の生活を支える施設であるのに対し、老健はリハビリテーションなどを通じて在宅復帰を支援する役割があります。
Q2.未経験者におすすめの介護施設はありますか?
「未経験なら必ずこの施設」というものはありません。
仕事内容だけでなく、教育体制、勤務時間、利用者の特徴などを確認し、自分に合う職場を探すことが重要です。
Q3.夜勤のない介護職はありますか?
あります。
デイサービスなど日中を中心に提供するサービスや、日勤のみで募集している求人などが選択肢になります。
ただし、実際の勤務条件は事業所・求人によって異なるため確認が必要です。
Q4.身体介護が多い施設はどこですか?
利用者の状態によって大きく変わりますが、要介護度の高い利用者が生活する入所施設では身体介護に関わる機会が多くなることがあります。
施設名だけで判断せず、利用者の状況や実際の仕事内容を確認しましょう。
Q5.訪問介護は無資格でもできますか?
訪問介護員として介護業務を行うには、介護職員初任者研修など一定の資格・研修修了が必要です。
無資格・未経験から介護職を目指す方法については、別の記事で詳しく解説しています。
→【介護職は無資格・未経験でも働ける?できる仕事と資格取得のタイミング】
Q6.有料老人ホームと特養は同じですか?
異なります。
特養は老人福祉法に基づく施設であり、有料老人ホームには介護付・住宅型・健康型などがあります。
サービスの提供方法や入居条件などにも違いがあります。
まとめ|施設の違いを知ると介護職の選択肢が広がる
介護の仕事にはさまざまな働く場所があります。
特養、老健、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、訪問介護では、利用者、施設・サービスの役割、仕事内容、勤務形態が異なります。
だからこそ、
「介護職に向いているか」
だけで判断するのではなく、
「自分にはどのような介護の仕事が合っているか」
という視点も持ってみてください。
未経験の段階ですべてを決める必要はありません。
それぞれの仕事内容を知り、求人や施設見学などで実際の職場を確認しながら、自分に合った働き方を探していきましょう。
あなたの次の一歩
「介護職の具体的な仕事内容を知りたい」
→【介護職の仕事内容とは?日勤・夜勤の1日の流れと施設別の違い】
「未経験から介護職になる流れを知りたい」
→【介護職になるには?未経験から資格取得・就職までの5ステップ】
「無資格でも介護の仕事ができるのか知りたい」
→【介護職は無資格・未経験でも働ける?できる仕事と資格取得のタイミング】
「介護について基礎から学んでみたい」と思った方へ
介護職員初任者研修では、介護技術だけではなく、利用者の尊厳や自立支援、コミュニケーション、認知症、こころとからだのしくみなど、介護の基礎を体系的に学びます。
介護の仕事にはさまざまな職場があります。
まず基礎を学びながら、「自分はどのような介護に関わりたいのか」を考えてみるのも一つの方法です。
