「介護の仕事に興味はあるけれど、資格を何も持っていない」
「介護の経験がなくても、本当に採用してもらえる?」
「働く前に資格を取ったほうがいいの?」
介護職への転職を考え始めたとき、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、介護職には無資格・未経験から始められる仕事があります。
実際に、無資格・未経験者を対象とした求人もあります。
ただし、「介護の仕事なら資格がなくても何でもできる」という意味ではありません。
働く場所や担当する仕事によっては、資格が必要です。
また、介護関係の資格を持たずに介護の仕事に就く場合、現在は認知症介護基礎研修についても知っておく必要があります。 出典: 厚生労働省「認知症介護基礎研修の義務付けについて」
厚生労働省によると、医療・福祉関係の資格を持たない介護従事者には認知症介護基礎研修の受講が義務付けられており、新たに採用された対象者には採用後1年間の猶予期間があります。
この記事では、
- 無資格・未経験でもできる介護の仕事
- 資格が必要になる仕事
- 無資格から働くメリットと注意点
- 先に資格を取るか、先に就職するか
- 未経験から介護職を始める方法
について、介護教育の現場で感じていることも交えながら解説します。
「資格がないから介護職は無理」と決めてしまう前に、自分にはどんな始め方が合っているのかを考えてみましょう。
介護職は無資格・未経験でも働ける?
介護職には、資格や介護経験がなくても応募できる仕事があります。
そのため、
「介護職になるには、最初に資格を取らなければならない」
とは限りません。
ただし、ここで知っておきたいのが、「無資格」と「未経験」は別の意味だということです。
無資格から始められる介護の仕事はある
介護施設などでは、無資格・未経験者を採用している事業所があります。
実際にハローワークでも、無資格・未経験者を対象とした介護職の求人を確認できます。
つまり、
資格を持っていない=介護職として働けない
ということではありません。
介護の仕事に興味を持った段階で、必ずしも資格取得からスタートする必要はないのです。
一方で、採用条件は事業所によって異なります。
求人を見るときには、「無資格可」「未経験可」といった条件だけでなく、入職後の研修や資格取得支援についても確認しましょう。
厚生労働省:「認知症介護基礎研修の義務づけについて」
「無資格」と「未経験」は別の意味
「無資格」と「未経験」は似ていますが、意味が違います。
無資格
介護職員初任者研修や介護福祉士など、介護に関係する資格・研修修了歴を持っていない状態。
未経験
介護の仕事をした経験がない状態。
そのため、
「初任者研修を修了しているけれど、介護職として働いた経験はない」
という方もいます。
反対に、
「介護施設で働いた経験はあるけれど、初任者研修などを修了していない」
というケースも考えられます。
求人を探すときには、「資格」と「経験」を分けて確認することが大切です。
介護の仕事なら何でも無資格でできるわけではない
ここは特に注意が必要です。
介護職には無資格から始められる仕事がありますが、仕事内容やサービスによって資格要件が異なります。
代表的なのが訪問介護です。
訪問介護員(ホームヘルパー)として働くには、原則として介護職員初任者研修課程などの修了が必要です。厚生労働省の職業情報提供サイトでも、訪問介護員になるには介護職員初任者研修課程を修了する必要があると案内されています。
したがって、
「無資格でも介護職になれる」
と
「無資格で介護の仕事を何でもできる」
は同じ意味ではありません。
この違いは覚えておきましょう。
厚生労働省 job tag「訪問介護員/ホームヘルパー」
無資格でできる介護の仕事とは?
では、資格を持っていない場合、どのような働き方が考えられるのでしょうか。
ポイントは、働く場所と仕事内容を分けて考えることです。
介護施設での仕事
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの介護施設では、無資格・未経験者を採用している事業所があります。
介護職は、利用者の生活を支えるためにさまざまな業務を行います。
たとえば、
- 食事に関する支援
- 入浴に関する支援
- 排泄に関する支援
- 移動の支援
- レクリエーション
- 環境整備
- 記録
- 利用者とのコミュニケーション
などです。
ただし、実際に担当する業務は、施設や本人の知識・技術、研修状況などによって異なります。
「無資格だからこの仕事」「資格があるからこの仕事」と単純に分けられるものではありません。
介護補助という働き方もある
介護施設では、介護職員を支える「介護補助」などの仕事が募集されることもあります。
たとえば、
- 居室の清掃
- ベッドメイク
- 配膳・下膳
- 備品の準備
- 環境整備
など、専門的な介護業務以外を担当する働き方です。
いきなり介護技術を必要とする仕事に入ることに不安がある方にとっては、介護業界を知る入り口の一つになるでしょう。
ただし、「介護補助」という名称や仕事内容は事業所によって異なります。
求人票で具体的な仕事内容を確認してください。
資格が必要になる仕事もある
先ほど紹介した訪問介護のように、資格要件がある仕事もあります。
訪問介護では、利用者の自宅を訪問し、一対一で介護を行う場面があります。
施設内で複数の職員と働く場合とは、仕事の環境も異なります。
「介護職ならどこでも無資格から始められる」と考えず、希望する職場にどのような資格要件があるのかを確認することが重要です。
無資格・未経験で働くメリット
資格を取得してから就職する方法だけでなく、まず介護の仕事を始めてみる方法にもメリットがあります。
働きながら介護の仕事を知ることができる
介護職について調べても、実際の仕事を完全にイメージするのは難しいものです。
利用者とのコミュニケーション。
職員同士の連携。
一日の仕事の流れ。
施設の雰囲気。
こうしたことは、実際に働いて初めて分かる部分もあります。
「介護が自分に合っているのか分からない」という方にとって、働きながら仕事を知ることも一つの方法です。
収入を得ながら経験を積める
先に資格を取得する場合は、学習する期間が必要になります。
一方、無資格・未経験者を採用している職場へ就職すれば、収入を得ながら介護経験を積むことができます。
生活のために早く働き始めたい方にとっては、大きなメリットになるでしょう。
資格取得を支援している職場もある
介護事業所のなかには、職員の資格取得を支援しているところもあります。
支援内容は事業所によって異なりますが、研修受講を支援する求人も実際にあります。
将来的に資格取得を考えている場合は、
- どの資格が対象なのか
- 受講費用への補助があるのか
- 研修日は勤務扱いになるのか
- 資格取得後に仕事内容や待遇が変わるのか
なども確認しておくとよいでしょう。
無資格・未経験で働く前に知っておきたいこと
「無資格でも働ける」と聞くと、すぐに求人へ応募したくなるかもしれません。
しかし、未経験だからこそ確認しておきたいことがあります。
最初は専門用語や介護技術に戸惑うこともある
介護現場には、初めて聞く専門用語がたくさんあります。
さらに、
- 利用者への声かけ
- 車いすの扱い
- 移動の介助
- 食事の支援
- 認知症のある方への関わり
など、知識だけでなく技術や考え方も必要になります。
未経験であれば、最初からできないことがあるのは当然です。
だからこそ、「無資格でも採用しているか」だけではなく、「未経験者をどう育てている職場なのか」を確認することが大切です。
職場によって教育・研修体制が違う
同じ介護施設でも、新人教育の方法は同じではありません。
先輩職員がついて教える職場もあれば、研修制度を用意している職場もあります。
求人票や面接では、
「未経験者には、どのような研修がありますか?」
と確認して構いません。
むしろ、初めて介護職に就く方にとって重要な確認事項です。
無資格者は「認知症介護基礎研修」も確認する
現在、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を持たない人については、原則として認知症介護基礎研修を受講する仕組みになっています。
経過措置は2024年3月31日で終了しました。
ただし、新卒・中途を問わず、新たに採用された対象者には採用後1年間の猶予期間があります。
つまり、
「資格がないから採用されない」
ということではありません。
実際に、無資格者を採用し、入社後に認知症介護基礎研修を受講する求人もあります。
求人へ応募する際は、勤務先での受講方法について確認すると安心です。
厚生労働省「認知症介護基礎研修の義務付けについて」
未経験なら先に資格を取った方がいい?
これは、当校でも相談につながりやすいテーマです。
結論としては、全員が同じ順番で介護職を始める必要はありません。
「資格を取ってから働く」
「働いてから資格を取る」
どちらの方法も考えられます。
資格を取ってから就職する方法
「介護のことを何も知らないまま働くのは不安」
という方は、先に介護職員初任者研修などで基礎を学ぶ方法があります。
介護職員初任者研修では、介護に必要な基礎的な知識・技術を学びます。厚生労働省の資料では、初任者研修のカリキュラムは全130時間とされています。
介護について学んでから現場へ進むことで、
「なぜこの介助をするのか」
「利用者本人の意思をなぜ大切にするのか」
といった介護の基本的な考え方も理解したうえで仕事を始められます。
無資格で就職してから資格を取る方法
もう一つは、無資格・未経験で応募できる職場へ就職し、働きながら資格取得を目指す方法です。
この方法なら、実際の介護現場を経験しながら学習できます。
資格取得支援のある職場であれば、制度を利用できる場合もあります。
「まず仕事を始めたい」
「実際に介護を経験してから資格を考えたい」
という方には、こちらが合うこともあります。
どちらが正解というわけではない
ここで大切なのは、
「資格を取ってから働く方が正しい」
と決めつけないことです。
反対に、
「無資格で働けるなら資格はいらない」
というわけでもありません。
自分が、
- すぐに働きたいのか
- まず介護について学びたいのか
- 未経験で現場に入ることが不安なのか
- 将来どのような仕事をしたいのか
によって、合う順番は変わります。
介護未経験者が最初に検討しやすい「初任者研修」とは?
介護について基礎から学んでから働きたい方にとって、選択肢の一つになるのが介護職員初任者研修です。
介護の基礎から学べる研修
初任者研修は、介護の基本的な知識や技術を学ぶ研修です。
カリキュラムは130時間で構成されています。
単に介助方法を覚えるだけではありません。
利用者本人の尊厳や自立を支える考え方など、介護職として働くうえで大切な基礎を学びます。
初任者研修で学ぶ内容
研修では、
- 介護の基本
- 介護・福祉サービスの理解
- 老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
- 生活支援技術
などを学びます。
初めて介護を学ぶ方にとって、現場に出る前に介護の全体像を理解する機会になります。
資格を取得してから働くメリット
資格を持っていることだけがメリットではありません。
未経験者にとって大きいのは、「何も分からない」という不安を減らせることです。
介護技術だけでなく、利用者との関わり方や介護職としての考え方を学んだうえで就職活動へ進めます。
また、訪問介護員のように、初任者研修課程などの修了が必要となる仕事もあります。
将来の働き方を広げるという意味でも、資格取得を検討する価値があります。
介護教育の現場から|「資格がないと働けない」と思っている方は多い
当校で受講相談をしていると、
「資格を持っていないと、介護の仕事には応募できないと思っていました」
という相談を受けることがあります。
しかし、ここまで紹介してきたように、無資格・未経験から始められる介護の仕事もあります。
大切なのは、
「資格があるか、ないか」だけで介護職を諦めないことです。
受講相談でよく聞く「未経験でも大丈夫ですか?」
初めて介護を学ぶ方からは、
「介護経験がまったくありませんが、大丈夫でしょうか?」
と聞かれることがあります。
特に介護の経験がない方ほど、
「介護=大変な仕事」
というイメージを強く持っていることがあります。
介護技術についていけるのか。
自分にできるのか。
利用者とうまく関われるのか。
受講前には、こうした不安を抱えている方もいます。
学ぶことで介護へのイメージが変わる人もいる
実際に初任者研修の講座が進んでいくと、介護に対する印象が変わっていく受講生もいます。
介護は、単に「できないことを代わりにやる仕事」ではありません。
利用者一人ひとりを理解し、その人が大切にしている生活や考え方を尊重しながら支援する仕事です。
授業を通してこうした考え方を学ぶことで、
「介護って、思っていた仕事と違いました」
と感じる方もいます。
なかには、初任者研修をきっかけに、
「もっと介護について学びたい」
と、その先の学習を考える方もいます。
私たちは、資格を取ることだけではなく、介護という仕事を理解してから自分のキャリアを考えることも大切だと考えています。
無資格・未経験から介護職を始める3つの方法
ここまで読んでも、
「結局、自分は何から始めればいいの?」
と思う方もいるでしょう。
大きく分けると、3つの方法があります。
① 無資格・未経験OKの職場へ就職する
すぐに働きたい方は、無資格・未経験者を募集している職場を探す方法があります。
求人を見るときは、
「未経験歓迎」
だけで判断せず、
新人教育や資格取得支援まで確認すること
をおすすめします。
② 初任者研修を取得してから就職する
介護について基礎から学びたい方は、初任者研修を修了してから就職活動を始める方法があります。
「介護について何も知らない状態で現場に入るのが不安」
という方には、こちらが合うかもしれません。
③ 資格取得支援のある職場を探す
働きながら学びたい方は、資格取得支援制度のある職場を探してみましょう。
就職と資格取得を同時に進められる可能性があります。
ただし、支援内容は勤務先によって異なります。
応募前に条件を確認してください。
無資格・未経験で求人を見るときのチェックポイント
求人票では給与や勤務地に目が行きやすいですが、未経験者にはほかにも確認してほしいポイントがあります。
① 未経験者向けの研修があるか
新人教育の方法を確認します。
② 資格取得支援があるか
初任者研修などの受講支援があるか確認します。
③ 具体的な仕事内容
「介護職」と書かれているだけでは、実際の業務までは分かりません。
仕事内容を確認しましょう。
④ 勤務時間・働き方
日勤だけなのか。
夜勤があるのか。
パート勤務が可能なのか。
生活との両立も考えて選びます。
⑤ 将来のキャリア
介護の仕事を続けていくなら、初任者研修だけでなく、実務者研修や介護福祉士などへ進む道もあります。
「今働けるか」だけでなく、数年後の自分も少し考えてみると、職場を選びやすくなります。
介護職の無資格・未経験についてよくある質問
Q1. 介護職は本当に無資格でも働けますか?
はい。介護施設などには、無資格・未経験から応募できる仕事があります。
ただし、すべての介護サービスで無資格のまま同じ仕事ができるわけではありません。
Q2. 未経験でも介護職になれますか?
未経験者を募集している介護事業所があります。
ただし、教育体制は職場によって異なるため、応募時に研修内容を確認することをおすすめします。
Q3. 介護職に年齢制限はありますか?
「介護職だから○歳まで」という一律の年齢制限があるわけではありません。
ただし、求人ごとの採用条件や定年制度などは確認する必要があります。
Q4. 無資格だとできない仕事はありますか?
あります。
たとえば訪問介護員として働くには、介護職員初任者研修課程などの修了が必要です。
Q5. 初任者研修を取ってから就職した方がいいですか?
必ずしも先に取得する必要はありません。
介護を基礎から学んでから働きたい方には「先に資格」、早く働きたい方には「働きながら資格取得」という方法があります。
厚生労働省 job tag「訪問介護員/ホームヘルパー」
Q6. 働きながら初任者研修を取得できますか?
働きながら研修を受講することは可能です。
ただし、講座の日程や勤務シフトとの調整が必要です。
Q7. 無資格と初任者研修修了者では仕事の選択肢が変わりますか?
変わる場合があります。
特に訪問介護など、初任者研修課程等の修了が資格要件に関係する仕事があります。
厚生労働省 job tag「訪問介護員/ホームヘルパー」
まとめ|無資格・未経験でも、自分に合った方法から介護を始められる
介護職には、無資格・未経験から始められる仕事があります。
「資格がないから介護職にはなれない」
と最初から諦める必要はありません。
一方で、介護の仕事ならすべて無資格でできるわけでもありません。
働く場所や仕事内容によって資格要件は異なります。
また、無資格で働き始める場合には、認知症介護基礎研修についても確認しておきましょう。対象となる新規採用者には、採用後1年間の受講猶予があります。
介護職への入り口は一つではありません。
すぐに働いて経験を積む。
先に初任者研修で介護を学ぶ。
資格取得を支援してくれる職場を探す。
自分の生活や不安、将来の働き方に合わせて選ぶことが大切です。
あなたの次の一歩
「まず介護について基礎から学びたい」
→【介護職員初任者研修とは?】
「介護職になるまでの流れを知りたい」
→【未経験から介護職になるには?】
「自分に介護職が合っているか知りたい」
→【介護職に向いている人・向いていない人】
「実際に介護を学んでみたい」と思った方へ
介護について基礎から学びたい方には、介護職員初任者研修という選択肢があります。
当校でも、介護未経験から初任者研修で介護の基礎を学び、次の一歩を考える方が受講されています。
