「介護職はこれからも必要とされる仕事?」
「AIや介護ロボットが普及したら、介護職の仕事はなくなる?」
「長く介護職を続けるなら、資格を取った方がいい?」
これから介護職を目指す方にとっても、すでに介護現場で働いている方にとっても、仕事の将来性は気になるところでしょう。
結論からいえば、介護職は今後も人材の確保が必要とされている仕事です。
厚生労働省によると、2022年度に約215万人だった介護職員に対し、必要数は2026年度に約240万人、2040年度には約272万人と推計されています。
出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
ただし、
「人手不足だから、介護職なら何もしなくても将来安泰」
と考えるのは少し違います。
介護現場では、ICTや見守りセンサーなどの介護テクノロジーの活用も進められています。
これから介護職として長く働くためには、経験だけに頼るのではなく、介護の知識や資格、専門性を身につけながら、変化する介護現場に対応していくことも重要です。
この記事では、介護職の将来性を「人手不足」「AI・介護テクノロジー」「資格・専門性」の3つの視点から考えます。
介護職に将来性はある?
介護職の将来性を考えるうえで、まず確認しておきたいのが今後必要になる介護職員の数です。
厚生労働省が第9期介護保険事業計画に基づいて公表した介護職員の必要数は、次のとおりです。
| 年度 | 介護職員数・必要数 |
|---|---|
| 2022年度 | 約215万人 |
| 2026年度 | 約240万人 |
| 2040年度 | 約272万人 |
2022年度と比較すると、2026年度には約25万人、2040年度には約57万人多くの介護職員が必要になる推計です。
国も介護人材確保に向けて、処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進・生産性向上、介護職の魅力向上、外国人材の受入環境整備などを進めています。
そのため少なくとも現在の公的な見通しでは、今後も介護人材を確保していく必要があると考えられています。
介護職の需要が今後も見込まれる3つの理由
1.今後も多くの介護職員が必要と推計されている
先ほど紹介したように、介護職員の必要数は2026年度約240万人、2040年度約272万人と推計されています。
介護職を目指す方にとって、この数字は一つの判断材料になります。
ただし、これは「すべての地域・施設で同じように求人が増える」という意味ではありません。
地域や介護サービスの種類によって、人材の需給状況は異なる可能性があります。
2.介護は「生活」を支える仕事だから
介護職の仕事は、食事・入浴・排泄などの身体介護だけではありません。
利用者とコミュニケーションを取り、その人の状態や希望を確認しながら日常生活を支えます。
利用者一人ひとりに、
「これまでどのように暮らしてきたのか」
「これからどのように暮らしたいのか」
という違いがあります。
そのため、介護では単に決められた作業をこなすだけでなく、一人ひとりに合わせて支援を考えることが重要です。
介護職の具体的な仕事内容については、「介護職の仕事内容とは?日勤・夜勤の1日の流れと施設別の違い」で詳しく解説しています。
3.国も介護人材の確保を政策課題としている
必要な介護サービスを維持するには、働く人を確保するだけでなく、長く働ける環境づくりも必要です。
厚生労働省は介護人材確保策として、人材の確保・育成だけでなく、処遇改善や離職防止、定着促進、生産性向上などを掲げています。
さらに2026年度には、介護職員等処遇改善加算の拡充も行われています。
出典:厚生労働省「介護職員の処遇改善」
つまり、介護人材の問題は単純に「人数を増やす」だけではなく、働き続けられる環境をどうつくるかまで含めて考えられています。
人手不足なら介護職は仕事に困らない?
ここは注意が必要です。
介護人材の確保が課題になっているからといって、
「介護職ならどこでも簡単に採用される」
「どの職場でも待遇が良い」
「一度就職すれば将来ずっと安心」
という意味ではありません。
施設・サービスによって仕事内容や勤務時間、夜勤の有無、給与、資格手当などは異なります。
また、自分に合った職場を選ばなければ、人間関係や勤務条件、業務量などを負担に感じることもあります。
介護職として長く働くことを考えるのであれば、「仕事があるか」だけでなく、「自分が続けられる職場か」まで確認することが大切です。
介護職の大変さや職場選びについては、「介護職はきつい?大変な理由と続けやすい職場を選ぶポイント」で詳しく解説しています。
AIや介護ロボットで介護職の仕事はなくなる?
介護職の将来性について調べると、
「AIに仕事を奪われるのでは?」
と不安になる方もいるでしょう。
介護現場でも、テクノロジーの活用は進められています。
2026年度も厚生労働省は、介護テクノロジーなどによる生産性向上について介護施設等で効果実証を行っています。
その目的には、ケアの質の確保や職員の負担軽減などの観点から効果を検証することが含まれています。
出典:厚生労働省「令和8年度 介護テクノロジー等による生産性向上の取組」
したがって、
介護テクノロジー=介護職をなくすためのもの
と考えるのは適切ではありません。
見守りセンサーなどを導入する介護現場もある
当校で介護現場に勤務する受講生から話を聞いていても、見守りセンサーを導入している施設について耳にする機会が増えています。
見守りなどをテクノロジーで支援できれば、職員の業務のあり方が変わる可能性があります。
国も現在、テクノロジーを活用した介護現場の生産性向上について実証・検討を進めています。
今後は、
「テクノロジーを使うか、人が介護するか」
という二者択一ではなく、
「テクノロジーを活用しながら、人がどのような介護をするか」
という視点がより重要になっていくと考えられます。
人との関わりまで単純に置き換わるとは限らない
介護では、
「今日はいつもより元気がない」
「いつもと表情が違う」
「本人は本当は何を望んでいるのだろう」
といったことを考えながら利用者と関わります。
テクノロジーによって支援できる業務が増えても、介護職のすべての役割がそのまま置き換えられると現時点で断定できる根拠はありません。
むしろ重要なのは、
テクノロジーによってできることと、人が関わることでできることを組み合わせること
でしょう。
これからの介護職に求められる5つの力
1.利用者一人ひとりを理解する力
介護の基本は、その人に合った生活を支えることです。
同じ介助でも、利用者の身体状態や生活歴、希望によって方法は変わります。
「介護はこうするもの」と一律に考えるのではなく、その人に必要な支援を考える力が重要です。
2.コミュニケーション・連携する力
介護は一人で完結する仕事ではありません。
利用者・家族だけでなく、介護職、看護職、ケアマネジャー、リハビリ専門職などと情報を共有する場面があります。
「介護職に向いている人・向いていない人|未経験者が確認したい適性」でも触れたように、単に「話すのが上手」ということではなく、相手の話を聞き、必要な情報を共有できることが大切です。
3.介護テクノロジーを活用する力
見守り機器などが導入されれば、介護職側にもそれらを適切に使う力が必要になります。
これからは従来の介護技術だけでなく、新しい機器や仕組みを理解して現場で活用する姿勢も大切になるでしょう。
4.学び続ける力
介護職として長く働くほど、経験は大きな財産になります。
一方、経験だけに頼るのではなく、新しい知識や考え方を学び続けることも重要です。
5.資格や専門性を高める
介護職には、
初任者研修
↓
実務者研修
↓
介護福祉士
など、知識や資格を積み上げていくルートがあります。
さらに働く分野によっては、喀痰吸引等研修など専門的な研修を受ける選択肢もあります。
資格を取ると介護職の将来性は変わる?
資格を取得したからといって、将来が保証されるわけではありません。
しかし、資格取得には、
- 介護を体系的に学ぶ
- 応募できる仕事の選択肢を広げる
- キャリアアップにつなげる
- 職場によっては資格手当等の対象になる
- 次の資格を目指す
といった意味があります。
当校でも、これからも介護の仕事を長く続けることを考え、将来転職する場合にも資格を活かしたいという理由から資格取得を目指す方がいます。
また、介護福祉士を目標として実務者研修を受講する方や、今後のキャリアアップを考えて資格取得に進む方もいます。
勤務先が研修へ参加できるようシフトを調整したり、事業所の資格取得支援制度を利用して受講したりするケースもあります。
介護職の資格と給与の関係については、「介護職の給料はいくら?資格・施設・夜勤による違いと収入を上げる方法」でも詳しく解説しています。
専門性を高めることも介護職のキャリアになる
介護職のキャリアアップは、役職に就くことだけではありません。
特定の分野について学び、対応できることを増やすという方向もあります。
その一例が、喀痰吸引等研修です。
当校でも、喀痰吸引等研修を受講する方がいます。
受講理由には、
- 勤務先で対応できる業務の範囲を広げたい
- 資格・研修修了による待遇面を考えている
- 施設側が必要な研修修了者を確保したい
といったものがあります。
また、当校には遠方から受講を希望する方や、「他の研修機関では受講まで半年以上待つと言われた」と相談されるケースもあります。
ただし、こうした当校への相談だけから「全国的に喀痰吸引等研修の需要が急増している」とまでは判断できません。
ここで注目したいのは、介護職として働きながら、現場で必要とされる知識や技術を追加していくキャリアもあるということです。
介護教育の現場から|経験と知識の両方を積み重ねる
介護現場で長く働いてきた経験は、大きな強みです。
利用者との接し方や現場での判断など、実際に働く中で身につくこともあります。
一方、当校で受講生と接していると、
「経験が長ければ、それだけで十分」とは限らない
とも感じます。
介護では、利用者の尊厳や人権、自立支援について理解し、その人に合った介護を考えることが大切です。
長く働いているからこそ身につく経験がある一方で、
「今までこうしてきたから」
という経験だけに考え方が固定されてしまうと、利用者本人の希望や、ほかの職員の考え方との間にズレが生じることもあります。
だからこそ、経験を積んだあとに改めて介護について体系的に学ぶことにも意味があります。
現場で培った経験とコミュニケーション力。
そして、
資格取得や研修を通して学ぶ介護の知識・考え方。
その両方を更新していくことが、長く介護職として働くうえでの強みの一つになります。
介護職として長く働くために考えたい4つのこと
自分に合った職場を選ぶ
介護施設・サービスによって仕事内容は異なります。
夜勤、身体介護、勤務時間など、自分が無理なく続けられる条件を考えましょう。
→ 介護施設の種類一覧|特養・老健・有料老人ホーム・デイサービスの違い
資格を段階的に取得する
最初からすべての資格を取得する必要はありません。
自分のキャリアに合わせて、必要な資格を考えます。
専門性を増やす
介護福祉士や喀痰吸引等研修など、自分が働く現場で必要な知識・技術を身につける方法があります。
経験だけに頼らず学び続ける
制度、介護技術、テクノロジーなど、介護を取り巻く環境は変化します。
長く働くからこそ、知識を更新していくことが大切です。
介護職の将来性についてよくある質問
介護職は将来なくなりますか?
現在の公的な見通しでは、むしろ今後も介護人材を確保する必要があるとされています。
厚生労働省は、介護職員の必要数を2026年度約240万人、2040年度約272万人と推計しています。
ただし、介護職の仕事内容や働き方が今とまったく同じまま続くとは限りません。
AIに介護職の仕事を奪われませんか?
将来の技術進歩を断定することはできません。
現時点で厚生労働省は、介護テクノロジーについてケアの質の確保や職員の負担軽減などの観点から効果実証を行っています。
そのため「AIが介護職をすべて置き換える」と考えるより、テクノロジーをどのように介護に活用するかを見ることが重要です。
資格なしでも介護職に将来性はありますか?
無資格から始められる介護の仕事もあります。
一方、資格によって担当できる仕事やキャリアの選択肢が変わる場合があります。
無資格から介護職を始める方法については、「介護職は無資格・未経験でも働ける?できる仕事と資格取得のタイミング」で詳しく解説しています。
今から介護職を目指しても遅くありませんか?
年齢だけで判断する必要はありません。
当校でも、定年後に資格を取得し、介護職へ転身する方がいます。
大切なのは、自分の体力や生活環境、希望する働き方なども含めて職場を選ぶことです。
まとめ|介護職は「なくなる仕事」ではなく「変わっていく仕事」と考える
厚生労働省は、2026年度に約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要になると推計しています。
この数字を見る限り、介護人材の確保は今後も重要な課題です。
一方で、介護テクノロジーの活用も進められています。
そのため介護職の将来性を、
「仕事がなくならないか」だけで考えるのではなく、「これからどのような介護職が必要とされるのか」
という視点で考えてみましょう。
経験を積む。
資格を取得する。
専門性を高める。
新しいテクノロジーを活用する。
そして、利用者一人ひとりに合った介護を考える。
こうした知識・経験を更新し続けることが、これから長く介護職として働くうえでの強みになっていくでしょう。
あなたの次の一歩
介護職の仕事内容を具体的に知りたい方
→ 「介護職の仕事内容とは?日勤・夜勤の1日の流れと施設別の違い」
介護職の大変さ・職場選びも確認したい方
→ 「介護職はきつい?大変な理由と続けやすい職場を選ぶポイント」
資格と給料の関係を知りたい方
→ 「介護職の給料はいくら?資格・施設・夜勤による違いと収入を上げる方法」
